目次
そもそも顧客管理とは
顧客管理とは文字通り「お客様」に関する情報を管理することです。
一般的には顧客の連絡先、売上高や購入頻度などのデータを管理することが多いようです。
より深い情報を管理しているケースでは、顧客情報をマーケティングに活用することがあります。
購入頻度や、メールマガジンへの反応、ご連絡頻度やご訪問時の状況まで管理をしてお客様の「傾向」を読み取り、先読みして施策を打つための材料として使われます。
顧客管理として記録していく情報項目は、各社さまざまです。
顧客管理が必要な理由
「顧客情報なんて名簿レベルで十分だし、わざわざ管理しなくてもいい」なんて考えていませんか?
確かに、一人で仕事をしている間はそれでも十分です。
会社規模が拡大する、更なる売上アップを目指す、クレームを減らす…そのためには必須な管理項目です。
顧客管理を怠ると起きやすい問題・トラブル
顧客情報の管理は、経営年数が増えていくごとに、取引先が増えていくごとに問題が起きやすくなります。
- 過去の契約履歴が分からず、リピートをもらっても即座に対応できない
- お客様に関する情報を営業マン以外持っていないので、窓口に電話をもらっても折り返してしまう
- 様々な対応が先読みできず、すべて後手に回ってしまう
- 勘や経験に頼った経営・売上計画にならざるを得なくなる
顧客とは、契約中の取引先だけではありません。
以前にサービスをご購入・ご契約いただいた方、ご検討があったもののキャンセルになってしまった方…
関わったほとんどの方が顧客名簿として保管できるはずです。
この管理がおろそかになると、いずれ場当たり的な活動に囚われてしまいます。
顧客管理システム(CRM)とは
顧客情報を管理するために神の台帳を使ったり、独自のExcelデータを構築するのは限界があります。
そこで、顧客管理システムを使うことがおすすめです。
顧客管理システムは、CRMと呼ばれることもある管理システムの種類の1つです。
お客様に関して残しておきたいあらゆる情報が保存・活用できるようになる便利なツールです。
顧客管理システムのメリット
顧客情報を一元管理できる
「一元管理」とは、簡単に言えば「まとめて管理する」という意味です。
システムを利用しない顧客管理でありがちなのが、「どこに何を保存したか分からなくなる」ということ。
お客様の住所や連絡先は台帳に保存しているものの、売上や原価の情報はExcelに保存しているというケースはよくあります。
そうなると、関連する情報でも活用できず、「誰がいつ何を依頼してくれたのか」という簡単な情報すら分からなくなります。
顧客に関するあらゆる情報をひとつのシステムで管理しておけば、あらゆる角度から情報を把握・分析が可能です。
顧客情報を社員全員で把握・共有できる
管理システムを導入する際に、「属人化の解消」は大変大きなポイントです。
属人化とはかみ砕いていえば「特定のだれかしか知らない情報がある」という状態です。
いちいちその人に確認しないと分からない、というのは非常に非効率ですよね。
誰もが見れるシステムに情報を入れておくことは、情報の属人化を防ぐことに大変効果的なアプローチです。
過去情報を探す手間が無くなる
「前に依頼をもらった時の状況」「前に提出している見積」「前回のキャンセル理由」など、確認するには大変な手間を伴います。
お客様はいつまでも確認を待ってくれるわけではないので、場合によっては以前に聞いている内容を改めて質問しなければならない場面もあるでしょう。
そうなるとお客様対応品質が下がるだけでなく、クレームに繋がってしまうことも考えられます。
顧客管理システムを使っておけば過去情報を簡単に調べることが出来るので、電話を受けながら検索するなどして対応スピードが上がります。
営業や原価の情報を紐づけて更なる活用ができる
システムによっては、営業マン向けの商談履歴や見積情報、事務経理向けの原価情報などを併せて管理できるものもあります。
それらを一元管理できれば、営業活動における数字に対する意識改革や、適正な原価管理が実施できます。
顧客管理システム(CRM)導入成功のポイント
非常に高い効果を得られる顧客管理システムですが、ただやみくもに導入するだけでは必要な効果は期待できません。
適切な手順を踏んで、自社に合ったシステムを導入しましょう。
導入・運用を担当するチームを作る
システム導入をするにあたって、「とりあえず入れる」ことほど残念過ぎる対応もありません。
実業務とマッチしないシステムを導入してしまい、効果が得られにくいどころか使わなくなってしまうことも少なくありません。
システム導入に関係する各部署・チームとの調整や根回しを行うためのプロジェクトチームを構築しましょう。
営業部、総務部など各部署の垣根を超えたチームであることが理想です。
難しければ、それら部署にヒアリングできるように通達しておくだけでも有効でしょう。
導入する目的、課題を明らかにする
構築したチームを中心に、顧客管理システムを導入する目的を明らかにします。
目的を明確化するときには、の3つのポイントで情報を整理します。
- 現状:今時点で、顧客情報をどのように管理しているか。どのように活用しているか。
- 困りごと:現状の方法だと何ができないのか、手間になっているのか等困っていること
- 理想:困っていることについて、どういう状態になれば嬉しいのか
この3点を併せて、「課題」と呼びます。
ただ困っていることを並べるだけ、どういう管理をしたいかを考えるだけでは不十分です。
ここがいかに具体的になるかで探せる顧客管理システムも、営業マンからの案内も変わっていきます。
現状業務の分析
現状分析は具体的であればあるほど良いものです。
各部署でお客様のどんな情報を収集し、どのように活用しているかはできるだけ具体的にしておきましょう。
チームで整理した課題に対して、もっと深い情報が得られるかもしれません。
顧客管理システムの導入成功事例
住宅工事施工を行うA社
リフォーム工事、不動産事業を手掛けるA社は、「地域密着」を掲げています。
お客様と営業マンならびにリフォーム会社との親密さ、何でも話せる関係性を持てることを売りに住宅に関する困りごとを一手に担います。
① 導入の目的と課題
お客様と直接かかわるのは営業マンで、ほぼ事務所に戻らずお客様先への移動が日々の大半を占めていました。
その結果、社内で顧客情報を確認する際には契約書や顧客台帳を見るしかなく、具体的な工事の状況やどういった方なのか等の情報は営業マンの手帳と頭の中にしかありません。
工事の引き渡し後にはほとんど情報が残っておらず、リピートのお問合せがあってもなんとか記憶をたどるしかありません。
② システム導入の結果
今時点で、手帳や簡単なExcelなど最小限のツールしか使ってきておらずシステム化に不安があったため、「共有できること」「操作が簡単な事」を重点ポイントとして検討しました。
システムを導入したことで簡単なメモ程度でも情報が残せるため、過去情報の引継ぎや社内情報共有が可能になり、顧客対応スピードを倍以上にあげることができました。
ECサイトを運営する小売業B社
B社はとある食肉の卸売りを行う傍らで燻製製品を通販サイト経由で販売しています。
もともとは店主一人で始めたものの売上の増加に伴いバイトや社員を数名雇い入れ、店舗対応と通販サイト対応をやっています。
① 導入の目的と課題
とくに通販サイトは引き合いが多く利益を支えているものの、長期的に考えると新たなサービスなどを検討しなければならないと感じていました。
今引き合いのあるお客様を分析したいと思ってはいたものの、通販サイトに関する情報はほとんど収集していません。
大手ECサイトから提供される情報はある程度あるものの、分析する方法もノウハウもなく困っており、小売業に即した情報収集・分析ができるツールを探しています。
② システム導入の結果
システム導入経験はないものの若手社員がいたので、ある程度難しくてもたくさんの情報が収集、分析できることを優先しました。
その結果、購買分析を通じて購入後ある程度の期間で再度購入するお客様が多いことが分かりました。
これはお客様にとっての「お試し」だと仮定し、再購入に繋げるためのメール配信をはじめたところ、売上を更に上げることができました。
まさに「マーケティング」ができるようになった!と大満足です。
まとめ
今回は顧客管理システムの導入を成功させるポイントを事例とともに紹介しました。
顧客管理を「まったくしていない」と答える方は少ないでしょうが、それが活用・運用できているかと言われるとまだまだ課題の残る企業も多いはずです。
ぜひこの機会に、顧客管理システムの検討をはじめましょう。